観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

松本(信州)街歩き#5(草間彌生@市美術館)

松本で是非とも訪れたかったのが市美術館。ここには、松本出身の前衛芸術家・草間彌生の作品が常設展示されています。

草間彌生と言えば、水玉やカボチャをモチーフにした作品が代表的ですね。

その研ぎ澄まされた感性や迫力ある作品が好きで、草間作品のある瀬戸内海の直島に出かけたり、この6月まで住んでいたシンガポールでは特別展に出かけたりしていました。

写真は、松本市美術館の入り口に置かれた巨大モニュメント「幻の華」です。

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高さが10m、横幅は18mあって草間彌生最大の作品とか。訪れた最初から草間ワールドに圧倒されました。

美術館の建物も写真のように水玉模様で包まれています。

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常設展示の作品数は、それ程多くはなかったですが、好きな作品の一つである"A PUMPKIN かぼちゃ"を観られたのが良かったです。

残念ながら、展示作品の殆どが写真撮影禁止。一つだけ撮影OKだったのが次の"考えるかぼちゃ"でした。なかなかに味わい深い作品です。

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美術館に置かれた自販機も、こんな感じの水玉模様でした。

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よく見ると自販機の前面に"yayoi kusama "のサインがありますね。

この美術館の入場料は410円。草間作品の観覧料としては格安で、お勧めです。

外の道路に出ると、松本周遊バス・タウンスニーカー「水玉乱舞号」が走っていました。

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ナンバーをよく見ると「841=やよい」ですね。

これでもか、と言うくらいの草間彌生尽くし。草間ファンも、そうでない人も、一度は見学されることをお勧めします。

この美術館、期待に違わずなかなか良かったです。

松本(信州)街歩き#4(珈琲まるも)

北アルプス連峰と美ヶ原高原に囲まれた豊かな自然、それに城下町の歴史と伝統等に育まれたせいか、松本の街には独特の文化の香りがしますね。

松本のウリは、三つの「ガク都」(「岳都」「楽都」「学都」)とか。

今回、松本を訪れた日も「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」の真っ最中でした。世界の小澤が総監督を務める国際的音楽祭。これをみても、松本の文化度の高さが分かります。

さて、まちなかを歩き疲れたのでカフェでひと休みしました。訪れたのは「珈琲まるも」です。

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この建物は、もともと松本大火後の1888(明治21)年に防火用の蔵造りで建てられたもの。

その後、松本民芸家具の創立者である池田三四郎が1956(昭和31)年に改装(設計)して、旅館兼喫茶店として開業し現在に至っています。

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写真では少し分かりづらいですが、屋根下に初代・新田茂八郎の名前からとった「モ」の屋号が残っています。

この店では、定番の"渋皮モンブランのケーキセット"を注文しました。どこか懐かしい味で、美味しかったです。

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店内は、民芸家具のセットが置かれて、重厚な雰囲気が漂っています。クラシック音楽がかかっていて、結構落ち着けました。接客も、暖かな感じで良かったですね。

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ちなみに、旅館も営業中だとか。ここの朝食が美味しいそうで、旅館の人気も高いようです。朝食付きで6,000円とか。一度、泊まってみたくなりました。

松本の文化度の高さを、ここでも再認識しました。なかなか素敵な街です。

松本(信州)街歩き#3(四柱神社と縄手通り)

JR松本駅からお城に向かう途中、女鳥羽川に架かる千歳橋を渡ると鎮守の森が見えてきます。

これが四柱神社(よはしら・じんじゃ)の杜ですね。

この神社には、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)など我が国の造化の三神と天照大神が祭神として祀られています。

境内は、かなりの広さがありました。お社もなかなか立派な造りです。

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ここは、願い事がすべて叶う「願い事むすびの神」として広く知られている神社とか。そのせいか、長い時間をかけて熱心に参拝する人が多かったです。

私は旅をするたびに、あちこちの神社で御朱印を頂くことにしています。でも今回の旅では、朱印帳を忘れてきてしまいました。せっかくの機会だったのに、全く残念です。

気を取り直して、神社を後にすると、すぐ縄手通りに出ました。ここは、四柱神社の参道として発達した門前町(神社なので鳥居前町)ですね。

現在は、女鳥羽川沿いに江戸期の城下の町並みを再現した商店街となっています。

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観光客向けの土産物店や雑貨屋、飲食店などが軒を連ねています。この商店街は、カエルの街として売り出しているそう。かつて、すぐ側を流れる女鳥羽川に河鹿蛙が沢山住みついていたからだとか。

商店街の端には、こんな像が建っていました。本を読むカエルの姿が、なかなか笑えます。

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商店街の端まで歩くと、特徴あるデザインの立派な建物が目につきました。

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聞けば、ここは旧松本市役所跡だとか。現在の建物は、旧市役所のデザインを取り入れて建てた市営住宅(上土団地)だそう。なかなかモダンな設計で、とても市営住宅とは思えませんでした。

松本では住民や行政の景観や街並み、空間環境などへの積極的な取り組み姿勢が感じられますね。松本の街が醸し出す文化的な香りは、ここからも生まれているように思いました。

       (松本街歩き、続く)

松本(信州)街歩き#2(湧水群と蕎麦)

城下町・松本の大きな特徴のひとつに、豊富な水の存在があります。

市街地には、女鳥羽川や薄川の伏流水からくる湧水が、あちこちに湧き出ていて沢山の水路となって流れています。

そう、当地は「まつもと城下町湧水群」として「平成の名水百選」(環境省)に選定されているのですね。

写真は、街なかを流れる女鳥羽川。綺麗な水が勢いよく流れる様子は、とても鮮烈な印象でした。

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余談ですが、私がこの間まで暮らしていたシンガポールには、こんなに綺麗な流れの川は皆無でした。水の豊かさ、綺麗さ、それに美味しさはなんと言っても日本が一番ですね。

松本の住宅街を流れる水路も、流れが速くてとても綺麗です。

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とある水路の側の電柱には、こんな表示がありました。

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流れを暫く観察しましたが、残念ながらニジマスの姿を見つけることは出来ませんでした。

また、水路の上にはバケツが並んでいました。防火用にも使われているのですね。こういう風景には、どこか懐かしさが感じられます。

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市街地のなか、高砂通りを少し入ったところにあったのが「源智の井戸」。当国一の名水と謳われた井戸とか。

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昔から住民が大切に守ってきた井戸で、訪れた時も湧き出る水を汲みに来ている人がいました。

井戸の様子は、こんな感じです。飲んでみると、爽やかで清々しい味でした。

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これまで、あちこち訪れましたが、水が豊かで美味しいことは、魅力ある都市に共通する条件だと言えます。

水が美味しいと、料理や酒も旨いですよね。

松本では、名物の蕎麦も食べ歩きました。何軒かハシゴしたなかで美味しく感じたのが「もとき」です。

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吟醸そばといって、玄蕎麦を30%まで磨いて打つとか。注文したのは、もりそばです。

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透明感のある蕎麦で、美味しかったです。お代は、1,300円でした。

水が豊かで、美味しい街は、それだけで大きな魅力の源泉をもつことになります。松本の魅力も、水が大きな要因のひとつだと再認識しました。

     (松本街歩き、続く)  

松本(信州)街歩き#1(松本城&ウサギ)

JR新宿駅(東京)から"特急あずさ"に乗って信州・松本(長野県)に行って来ました。松本を訪れるのは本当に久しぶり。街の記憶もほとんど残っていないので、今回は、あちこち見学しながら歩いて来ました。

松本は松本藩歴代6家の藩主(23人とか)が治めた城下町ですね。その城は、戦国時代末期の1593〜94年に石川数正・康長父子が建てたもので、城郭建築の傑作と言われています。

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訪れた日は快晴でした。松本城は、均整がとれた姿で端然とお堀に浮かんでいました。さすが国宝の風格と美しさがありますね。

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ちなみに、日本には国宝の城【天守】が5つ(姫路城、彦根城犬山城松江城松本城)あります。

いずれも素晴らしい建築ですが、訪れた経験からすると、どこも階段が狭く急な造りなので、なるべく足腰が達者なうちに訪れた方が良いようです。

歳を喰った私には、今回の天守閣までの上り下りが、かなり辛かったです。情けないことに、地上に降り立ったら膝がガクガクでした。

天守閣の上からの眺めは、とても良かったです。北アルプスの山々が一望出来ました。

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天守閣から下りて、お堀の周りを歩いていたら、芝生の上にウサギがいました。

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鎖に繋がれて、ちと不満そうな様子が何とも可愛いかったです。ウサギの散歩ですかね。何匹かいて、修学旅行生などが抱いたりしていました。

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お城とウサギのコラボ、何とも言えず微笑ましかったです。ウサギにとっては、かなり迷惑かもしれませんが・・・。

久しぶりに訪れた松本城。とても優美な佇まいで、訪れた甲斐がありました。

以下、覚え書きです。

日本には5つの国宝の城【天守】がありますが、他に重要文化財に指定されている城【天守】が7つあります。①弘前城青森県)、②丸岡城福井県)、③備中松山城岡山県)、④丸亀城香川県)、⑤松山城愛媛県)、⑥宇和島城愛媛県)、⑦高知城高知県)。

ここまで書いて、丸岡城には行っていないことに気付きました。これは何としても訪れなければ、と思った次第です。             (松本(信州)街歩き、続く)

スマホ花火大会(渋谷駅地下コンコース)

2年間暮らしたシンガポールから、このたび帰国しました。

荷物の整理やら挨拶廻り、慣れない仕事などでバタバタしていましたが、漸く落ち着いてきたこの頃です。

それにしても、東京の喧騒と満員電車での通勤には参りますね。活気があると言えば確かにそうなのですが、慣れるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

さて、昨夜、仕事を終えての帰り道、渋谷駅の地下通路を歩いていると人だかりが出来ていました。

何かと思えば、世界初の"スマホ花火大会"とか。そこで撮ったのが次の写真です。

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但し、通路の壁には全長14mの真っ黒なポスターが貼ってあるだけ。こんな感じですね。見ただけでは、花火のかけらもありません。

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でも、このポスターに向かって、フラッシュONのスマホで写真を撮ると・・・。

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こんな鮮やかで綺麗な花火が撮影出来ます。

スマホでも、普通のカメラでも、フラッシュ撮影出来るものであれば大丈夫とか。

このポスターには、フラッシュの光に反応して目に見えていないビジュアルをカメラに表示させる印刷技術("Rainbow Film")が使われているそう。さすが日本の技術力は大したものです。

花火は、今年、全国82ヶ所で開催された花火大会のものを使用しています。例えば、沖縄・名護夏祭り、兵庫・みなとこうべ海上花火大会、新潟・長岡まつり大花火大会、などなど。

このイベントは、9月10日(日)までやっています。今年、花火を見逃した人や、そうでない人にもお勧めしたいイベントですね。

正確な場所は、「東急田園都市線渋谷駅B1F 道玄坂方面コンコース」となります。くれぐれもスマホを忘れずに!

こんなイベントに行き当たる東京の街歩き、これから楽しみです。

シンガポール街歩き#290(日本に帰国しました)

久しぶりのブログ更新となりました。ブログを休んでいるあいだにも、沢山の方々に読んで頂きありがとうございました。

このたびシンガポールでの2年間の任期を終えて、日本に帰国しました。まだまだシンガポール生活を続けたかったのですが、宮仕えの身で帰国命令が出れば如何ともなりません。

シンガポールでの生活は、実に楽しくかつ快適でした。海外生活が初めてだったこともあって、その体験全てが新鮮で面白かったです。

街歩きが唯一の趣味なのでシンガポール島内は、ほぼ歩き尽くしたのではと思います。建国50年余の歴史しかないシンガポールは、独自の文化や伝統がないとよく言われます。でも、あちこち出歩いて丁寧に街を観察すると、こんなにも人種や宗教、文化などの多様性を持った国は他にないのではと感じます。

シンガポールで生活してみて、国や地域の魅力は既存の観光資源だけではなく、その多様性から生まれることがよく理解できました。この点は、観光大国を目指す日本も見習う必要がありそうです。

ともあれ、これからは一人のシンガポールファンとして当地の発展を見守って行きたいと思っています。

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次回からは、日本やシンガポール時代に出かけた近隣諸国(11ヵ国19都市)等の街歩きを沢山の写真とともに綴っていきます。

引き続き宜しくお願いします。 


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