観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

新聞記事「三陸海岸、新国立公園に」から考えること

東京も、だいぶん蒸し暑くなってきました。

電力不足の今年の夏の暑さが思いやられます。


昨日(5月19日)の日経新聞で、「三陸海岸、新国立公園に」という記事がありました。

環境省では、三陸海岸国立公園国定公園を再編し、新たな国立公園(仮称:三陸復興国立公園)として再編する構想とのこと。

これにより観光地としてブランド化を図り、震災復興と地域振興の起爆剤としたい由。 地元の雇用促進にもつなげたい考えとか。


これで構想にあるようにエコツーリズムなどが推進され、地元も潤うきっかけになるかもしれません。

でも、よく考えると、既に国立公園陸中海岸国立公園)や国定公園南三陸金華山国定公園)の指定がなされており、これを再編したところで、どうなるものでもないと思うのですが・・・。 

確かに、三陸という知名度の高いネーミングに変えたい、再編を機にエリアを拡大したい等々の地元の要望は理解できます。
 
しかし大事なことは、既存の地域資源にマッチした振興手法や集客手法(エコツーリズムはその一つにすぎません)を、各地域がそれぞれ考えて、それを着実に実行していくことなのです。

国立公園=ブランド化=エコツーリズム等、という図式だけでは、集客は難しいでしょう(絵にかいたモチとなりかねません)。

それに国立公園が直ちにブランドとして認識されるか、というのも現在では疑問です。

検討の手順としては、三陸海岸地域資源(同じ三陸海岸地域でも、それぞれ地域資源は異なるはず)を棚卸して、個々の地域の持てる資源に見合った振興手法を考えていくことが大事だと思うのです。

そして、国は地域が考えた振興計画(手法)を支援していく。 もちろん、上に述べた検討の結果として国立公園(その再編)という支援策もでてくるかもしれません。

地域振興や地域ブランド化は、かつてのようなトップダウン方式ではなくボトムアップ方式でないと、今や成功しないというのが私の考えるところです。


ところで、佐賀焼き物散歩の続きで写真を一枚。

下の写真は、伊万里・大川内山地区を撮ったもの(前回の続きです)。

谷あいにあって、煉瓦造りの煙突など心が安らぐ「秘窯の里」の景観です。