台風の影響なのか、今日も強い雨が降り続いています。
外出する気もおきず、家で本を読んだり、部屋の整理をしたり・・・。 やや物足りない休日です。
今回は、最近読んだ本の紹介です。
高知県出身で、いま売れっ子の女性作家ですね。 この本は、現在、十数万部を売り上げる人気とか。
巻末の対談に参加されている、食総合プロデューサー金丸弘美先生に薦められ読んでみました。
http://www.kadokawa.co.jp/sp/201103-04/
高知県観光部おもてなし課の職員達(公務員)が、「高知レジャーランド化構想」を悪戦苦闘しながら推進していくというもの。
「お役所仕事に民間感覚を持ちこむこと」&「地域の観光振興をいかに進めていくか」、この二つが大きなテーマとなる小説です。
私も全国の自治体職員と観光振興について話す機会が多くあります。 このため、この小説が描く県庁職員の思考回路や行動パターンはよく理解できます。 そして、それを変えていくことは、とても難しい。
但し、それもヒト次第かな、というのが私の実感です。 硬直的で親方日の丸的、非効率的なヒトばかりかというと、もちろんそうでないヒトも少なからず存在します。
この点で、本書の主人公・掛水の若さと柔軟性、素直さは大きな魅力であり、今後への希望を抱かせるものと言えます。
むしろ気になったのは、地域の観光振興は県庁だけがやるものではないということ。 この小説は、県庁に過大な期待を寄せすぎかな、という印象です。
観光で成功している地域は、当該地域の基礎自治体(市町村)やNPO、農漁協、地域住民、地元事業者などに意識が高く、熱心な人たちがいる場合が多い。
この本で成功例としてあげている馬路村(「ゆず」で村ごとブランド化)にしても、地元主導で活性化させた典型例の一つです。
そこには、国や県がかかわった痕跡がほとんどない。
この本は、観光振興に興味や関心をもつ一般のヒトたちにとって、その概要を知るうえで参考になるところが多いでしょう。
でも、これが観光振興の進め方として一つのモデルかといえば、私はやや疑問だと思うのです。
なぜなら、観光振興(地域振興)は、今や国や県からのトップダウン方式ではなく、地域からのボトムアップ方式でないと成功は覚束ないからです。
なお、高知県庁に「おもてなし課」は実在します。 一方、本の内容はフィクション(小説)です。
これらを前提として読めば、大変面白い小説に仕上がっています。