鶴岡市の中心部・鶴岡公園には致道博物館があります。
この博物館には、鶴岡の歴史的建造物が幾つか集められています。
写真は「旧鶴岡警察署庁舎」。
1884(明治17)年、市内馬場町に建てられた警察庁舎です。
設計したのは、地元の大工棟梁・高橋兼吉。 この人は、この建物の他にも地元で幾つかの洋風建築を残していますね。
木造2階建て入母屋造りで、明治初期の疑似洋風建築として独特の意匠を持っています。
この建物は警察署の移転があり、1957(昭和32)年に致道博物館に移転・保存されました。
国の重要文化財に指定されていますが、現在は博物館の事務所として使用されています。
鶴岡には、こうした洋風建築がかなり多く残されています。 明治期の県令(知事)が、洋風建物の建築を勧めたからとか。
しかも、壊されずに保存されているのは、確かに素晴らしい。
でも、本来、建物は実際に使われてこそ価値がでるもの、と私は思うのです(使われ方や用途は、それぞれで構いません)。
望むらくは、元の場所で保存・活用され続けることが一番です。
この点で、建物だけを集めた博物館形式の保存は、その必要性を認めつつも、積極的に訪れたいとは思わない。
そこには、地元住民の生業や生活の息遣いなどが、残念ながら感じられないからです。
しかし、そんな贅沢は言っていられず、保存されるだけでも幸運で大変なことだと理解すべきなのでしょう。
(庄内の項、続く)