今回、坂越(兵庫県赤穂市)で是非訪れたかったのが、大避神社(おおさけ・じんじゃ)です。
大避神社の御祭神は、秦 河勝(はた の かわかつ)。 秦氏は、6世紀頃に大陸からやってきた渡来人と言われています。
秦 河勝は、その族長的人物で、聖徳太子の側近として活躍した人ですね。
のちに、京都最古の寺とされる広隆寺(622年創建)を、太秦(うずまさ)の地に建立したことでも知られています。
河勝は、聖徳太子没後に蘇我入鹿の迫害を受けて、畿内から坂越へと逃れ、647年に死去。 その霊を地元民が祀ったのが、当神社の創建と言われています。
興味深いのは、秦氏が景教(ネストリウス派キリスト教)を信仰するユダヤ教一族であったという説があること(1908年に言語学者・佐伯好郎が学会誌に発表)。
その説から、大避神社は景教系神社(?)であったとも言われています。
少々(or かなり)怪しいところもありますが、想像するだけでもロマンを感じますね。
坂越(赤穂市)に、このような歴史があったことは、今回ネットで下調べをしていて初めて知りました。
実際に訪れてみると、宝珠山麓に建つ境内は比較的小ぶりで、参拝者も思いのほか少なく静かでした。
写真は、拝殿を撮ったもの。
拝殿で参拝のあと見学したのが絵馬堂。 奥に深く、なかなかに立派なお堂でした。
港町だけに航海安全の絵馬が多かったですが、能楽の絵馬もかけられていました。 河勝は猿楽の始祖といわれていて、観阿弥、世阿弥、そして金春流などが河勝の流れを受け継いでいるとか。
ここは鄙びた社殿ながら、どこか凛とした雰囲気のある良いお社でした。
神社の正面、坂越湾に浮かぶ生島(いきしま)には河勝の墓所があり、神域として人の立ち入りを禁止しています。
その生島を撮ったのが、次の写真です。 周囲が1,630mの小島で、原生林が生い繁る佇まいは、なかなかに印象的でした。
島全体が特別保護区に指定されていて、「生島樹林」として国の天然記念物にも指定されているそう。
生島には大避神社の御旅所があります。
毎年10月に行われる「坂越の船祭り」では、和船による渡御があり、瀬戸内海三大船祭りの一つに数えられているとか。
一度は、この船祭り(船渡御祭)を見てみたいと思っています。