観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

絶景の産業遺産「山川製塩工場跡」(鹿児島・開聞岳周辺その2)

薩摩半島(鹿児島県)の南端にある伏目(ふしめ)温泉へとやってきました。

場所は、指宿市山川福元の伏目海岸ですね。

ここには、温泉を利用して製塩を行っていた「山川製塩工場跡」があります。

眼前に広がる東シナ海と、海に浮かぶ開聞岳を見渡す高台に、その工場跡はありました。 

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山川製塩工場の操業は、戦時中の昭和18年頃から始まりました。

当時、輸入塩の減少と工業塩の需要増に悩まされた政府は、国内での製塩事業を活発化させます。

それに応ずる形で温泉熱を利用した製塩事業を始めたのが、この山川製塩工場です。

伏目温泉の泉温は約100度と高く、この温泉熱と南国の太陽光を併用して海水を蒸発させることで良質な塩を作っていたそう。

ところが終戦後は、安価な輸入塩に市場を奪われて、山川製塩工場は昭和39年に閉鎖されました。 

わずか20年ほどの短命の事業でしたが、国内の温泉熱利用の製塩事業としては一番最後まで操業していたらしい。

実際に見学してみると、当時の塩田跡と泉源がそのままの形で残されていました。

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これだけ整った遺構が残されているのは、全国的にも珍しいそうで、当時の製塩業の様子を伝える貴重な産業遺産といえます。

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かなりの勢いで吹き上げる噴気(水蒸気)や、整然と区画された塩田跡を眺めていると、ここは一体どこだろう、と思うような不思議な光景でした。

この絶景かつ珍しい産業遺産は、ぜひ皆さんに見学をおススメしたいと思います。

なお、この高台からの眺望はとても素晴らしかったです。

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