観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

奥能登の「揚げ浜式製塩」(能登その2)

能登では、 ”海” と ”人間の生業” との距離感が本当に近いと感じました。

海岸沿いをクルマで走っていると、見えてきたのが「揚げ浜式塩田」です。

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ここは、仁江海岸(珠洲市)にある「道の駅 すず塩田村」。

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製塩を行う ”塩浜” には「揚げ浜」と「入り浜」の二つがあるそうで、能登では1596年(慶長元年)から「揚げ浜」での塩づくりが始まったとか。

「揚げ浜式製塩」は、海水を浜の塩田に揚げて製塩する方法ですね。

作り方は、砂浜にある塩田に海水を撒き、塩分を濃縮させた砂を海水でさらに漉し、塩分が濃い「かん水」を作って、それを大釜で煮るというもの。

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とてもシンプルな方法ですが、海水を汲んで塩田に撒く作業などは、かなりの重労働だと思いますね。

でも、こうして出来た塩は、海水と砂のミネラル分が残って、塩味がまろやかになるとか。

この「揚げ浜式製塩」は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

なお参考までですが、上述した「入り浜」は、潮の満ち引きを利用して海水を自動的に浜に引き入れるもので、瀬戸内地方で盛んにおこなわれた製塩手法です。

写真は「揚げ浜式塩田」のある仁江海岸を撮ったもの。

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岩場の海岸が多い能登では、「揚げ浜式製塩」の手法が採用されたのも頷けますね。

次は、 ”道の駅” で買った「しおサイダー」の写真です。

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1本に1グラム、能登の塩が入っているそうで、まろやかな塩の味と、サイダーの爽やかさが意外にもマッチして美味しかったです。 お代は、1本200円でした。

「揚げ浜」の塩田を見学して、この地域が「世界農業遺産」(能登里山里海)に認定された理由や要因がよく理解できました。

 
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