観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

京町家「無名舎(吉田家住宅)」その2(京都まち歩き#9)

今回は、京町家の造りや雰囲気を実際に体験すべく訪れた「無名舎(吉田家住宅)」の続きとなります。

この建物の特徴は、典型的な「表屋造り」(おもてや・づくり)にあります。

「表屋造り」とは、店舗と住居の棟を分けて、あいだに中庭を設けた町家の造りをいいます。

商家のなかでも、大店に多く見られる建物の構造ですね。

ここ「無名舎」の建物には、二つの中庭があります。

店舗側に面する中庭からは、座敷越しに、もう一つの中庭が見える構造となっています(次の写真の通り)。

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これは、手前にある日陰の中庭と、奥の日向(になた)の中庭の二つを造ることで、真ん中の座敷に風が通るようにしたものだとか。

京都の暑い夏を、いかに凌ぎやすくするか、本当によく考えられています。

店舗側(日陰)の中庭は三方正面となっていて、店の間、玄関、中の間のいずれからも鑑賞できるように作られています。

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陰影の濃い石灯篭の傍には、高く茂った棕櫚竹(シュロチク)を配置して、とても見応えのある庭となっています。

手水鉢が小判型をしているのは、商家ならではというところでしょうか。

この小宇宙的な庭を眺めていると、時間が経つのも忘れるほどでした。

こうした京町家を維持していくのは、本当に大変なことだと思いますが、ぜひ後世へと受け継いでいって欲しいと心から思いました。 

 
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