観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

石塀小路(京都まち歩き#11)

京都を訪れると、よく歩くのが八坂神社から高台寺あたりです。

四条河原町の繁華街からも近く、時間さえ選べば静かな散歩道となっています。

八坂神社から八坂の塔法観寺)方面に歩いていくと、左手(東側)に石塀小路があります。

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ここは大正時代に、貸家街として計画的に造られた街区とか。

石垣の塀や石畳の小道に沿って、料理屋や旅館などが立ち並んでいます。

次の写真は、石塀小路へとつながる小さな入り口を撮ったもの。

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トンネル状になっていて、まるで異界へとつながっているかのよう。

ここを抜けると、石畳の静かな街並みが現れます。

道に敷いてある石畳は、市電が廃止された後の石材を持ってきたものだそう。

それにしても、今ではなかなかに良い雰囲気の小路となっています。

石塀小路を歩いていると、民家に粽(ちまき)が飾ってありました。

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粽は笹の葉で包んだ餅菓子ですね。

でも、この軒先の粽は食べられません。

祇園祭宵山の日だけ、厄除けの粽が授けられます。

それを一年間、玄関先に飾っておくというもの。

この粽には「蘇民将来之子孫也」と書いてあります。

スサノオノミコト」(八坂神社の祭神)が南海へと赴く途中、日が暮れて宿を探していたときに、貧しい「蘇民将来」が稗(ひえ)の食事と藁(わら)の布団でもてなしたそう。

それを喜んだ「スサノオノミコト」が、蘇民の子孫を疫病から守ると約束した、そしてその目印に茅の輪を腰に付けさせた、という神話から厄除けのお守り(粽)に上のような文言が書かれています。

京都の街は、昔ながらの風習を守りながら、それが生活のリズムとなっているようです。

なお、次の写真は、玄関の上の屋根に置かれた鍾馗さんです。

これも、以前に紹介したように厄除け(道教)のお守りですね。

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京都では、名所旧跡もさることながら、街なかで見かける日常風景や人の生業などに興味がひかれます。

石塀小路には、京都のまち歩きの面白さが凝縮されているようです。


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