前回に紹介した「大日影トンネル遊歩道」(現在は閉鎖中です) を歩いて抜けると、その先にあるのが「勝沼トンネルワインカーヴ」です。
写真でも分かるように、このワインカーヴは、JR中央本線の旧深沢トンネルを活用したものです。
明治36年(1903年)完成の石積みトンネルで、全長はおよそ1,100mあります。
完成からおよそ100年経った平成9年(1997年)にJR中央本線の線路付け替えに伴って廃止され、JR東日本から地元の勝沼町(現在の甲州市)へと無償譲渡されました。
勝沼町では、トンネル内の環境(温度、湿度など)がワインの保管・熟成に適していることから、平成17年(2005年)よりワインカーヴとして開業しています。
トンネルの扉は閉ざされていますが、近くにある事務所に頼めば内部を見学させてもらえます。
実際に見学すると、トンネルのなかはワインの保管庫が延々と並んでいました。
なかなかに壮観な眺めです。
720mlボトル換算で、1区画300本が収納可能だとか。
保管料は月額2,500円(1区画)だそう。
ワインカーヴ全体では、およそ100万本の収容能力があり、地元のワイナリーのほか東京あたりの個人客も預けに来るとかで、保管庫は満杯とのことでした。
空き待ちには複数年かかるようですが、キャンセル待ちは受け付けているとのこと。
その盛況ぶりには、少しばかり驚きました。
確かに、甲州ワインなどが世界的に評価を高めてきているなか、ワイン関連市場の伸び代も大きいのでしょう。
近代化遺産を、そのまま展示(公開)するだけでなく、知恵をだして活用しつつ付加価値を高めていく。
地域活性化や観光振興にとって、優れた手法だと感心しました。