奈良には古都らしい優れた風景が沢山あります。
なかでも、個人的に気に入っているのが、猿沢池から望む興福寺五重塔の景観です。
写真で見ると、こんな感じですね。
再建された中金堂の屋根も少しだけ見えます。
冬枯れで光と緑が少ないせいか、やや寂しい風景に見えますが、高台に建つ五重塔が池の水面に映る様子は眺めていて飽きません。
この猿沢池は、興福寺の行事である放生会(捕らえた生き物を解き放つ儀式)のために、749年(天平21年)に造られた人工池だとか。
水が流出入する川がないにもかかわらず、常に一定の水位が保たれているという、少し不思議な池でもあります。
創建は669年と古く、摂関家である藤原氏の氏寺として栄えてきました(ちなみに、氏神は春日大社です)。
戦乱(戦国期)や落雷等による火災、さらには神仏分離令(1868年)による廃仏毀釈等で、寺院としての勢力は大きく削がれましたが、今も国宝の五重塔、三重塔、東金堂をはじめとする貴重な文化財が沢山残っています。
写真は、三重塔(国宝)を撮ったものです。
興福寺では五重塔が注目されますが、個人的には、この小ぶりの塔が好みです。
塔の高さは19mあって、本瓦葺きの三間三重塔婆。 鎌倉時代前期の再建といわれています。
その立ち姿は美しく、品が感じられますね。
次の写真は、東金堂(国宝)を撮ったもの。
五重塔のすぐ近くにあって、本瓦葺き寄棟造の堂々とした建物です。
この建物は、1426年(室町中期)の再建とか。
堂内にある諸仏像も素晴らしいものです。
なお、2018年に再建された中金堂については、このブログでも既に取り上げたので、写真だけ載せておきます。
興福寺は奈良公園と一体化していて、どこからでも境内に入ることが出来ます。
その昔、大阪に勤務していた頃は、夕方、暗くなりかけてから奈良公園や興福寺の境内を歩いた記憶があります。
森閑として、人影も少なく、その独特の雰囲気がとても良かったですね。
奈良にはホテルが少なく、たいていの観光客は日帰りで、大阪や京都に泊まってしまいます。
でも最近になって、奈良にも幾つか良いホテルが出来ました。
次は、奈良に宿泊し、夕方と早朝にこの辺りを散歩してみたいと思います。