観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

伝統的漁法の「ボラ待ちやぐら」(能登その4)

七尾湾沿いの国道249号線をクルマで走っていると、海のなかに丸太を組んだ櫓(やぐら)が見えました。

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場所は、穴水町の根木あたり。

一体何だろうとネットで調べたところ、これは「ボラ待ちやぐら」らしい。

丸太を四角錐の形に組んで作った漁業用の櫓だとか。

高さは10mほどで、上部は人間が座れるようになっています。

この櫓をボラが回遊してくる入り江に立て、上から監視しつつ、魚の群れが網に入ってくると引き上げて生け捕りにするそう。

江戸時代から続く伝統的漁法で、最盛期には穴水町周辺で40基ほどもあったらしい。

ボラと言えば、卵巣から作られる「カラスミ」が有名ですね。

カラスミ」は、わが国の三大珍味の一つ。 ちなみに、あとの二つは「うに」と「このわた」になります。

この伝統的漁法は、ボラ自体の減少や長時間かかる労力などから次第に衰退し、1996年を最後にいったんは行われなくなったそう。

ところが2012年に漁が再開され、現在は3ヶ所に「ボラ待ちやぐら」が立てられているらしい。

至ってノンビリとした漁法のようで、とても好感(?)が持てますね。

出来ることなら、私も一度、ボラ漁を体験してみたいです。

それに、この櫓には歴史的・文化的な価値もあるので、実際に活用しつつ、ぜひ次の世代へと受け継いでいって欲しいです。

七尾湾沿いをクルマで走っていると、海が手に届きそうなくらいに迫ってきました。

能登では、海と人との距離が、こんなにも近いことを知りました。

”里海” という言葉は知識としては知っていましたが、能登を訪れて初めて実感できたようです。


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