観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

四間道の屋根神様(名古屋その9)

名古屋市西区・堀川の西側に広がる四間道(しけみち)界隈は、戦災を免れたことから昔ながらの商家や町家が残っています。

四間道の町並みを歩いていると、古い民家の屋根に祀られている屋根神様を見つけました。

写真は、中村家の住宅です。

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建物に掲示されていた案内板によれば、中村家は築200年といわれる旧家で江戸時代の商家の佇まいをよく残しているとか。

屋根神様は、名古屋周辺の独特の風習で、津島神社秋葉神社熱田神宮の三社をお祀りしているそう。

これら三社で、疫病除け、火難除けなどのご利益を祈願しています。

かつては、三社の祭礼時に合わせて紫色の幕をはり、お神酒や野菜などを供えていたらしい。

それが廃れ始めたのが昭和30年代だとか。 日本が高度成長期に向かって、まっしぐらに走りはじめた時代ですね。

この屋根神様は、この界隈でもあちこちに祀られていたそうですが、今は数えるほどになってしまったそう。

当日も界隈を歩いていて見つけたのは、上で紹介した中村家のものと、次の写真のものの二つだけでした。

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この家は古道具屋さんですね。 なかなかに味がある建物です。

この地方独特の風習である屋根神様は、町家などとともに何とか後世へと受け継いでいって欲しいと思います。

 
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円頓寺商店街(名古屋その8)

前回のブログで取り上げた「堀川」と「四間道(しけみち)」のすぐ近くに「円頓寺商店街」があります。

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ここは、今回の名古屋行きで一番訪れたかった(見たかった)場所です。

 最寄り駅は地下鉄桜通線の国際センター駅。 名古屋駅から歩いても15分ほどの距離にあります。

この商店街は、明治から戦前にかけて名古屋三大商店街のひとつに数えられていました。(他の二つは、大曽根大須

昔ながらのアーケード商店街ですが、もともとは「長久山円頓寺」の門前町として始まったものとか。

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全国あちこちにある商店街と同様に、一時はかなりの寂れようだったらしい。

ところが、イベントの開催や新たな出店者の出現などによって、徐々に賑わいを取り戻しつつあると聞き、この目で確かめるべく訪れました。

閑散とした商店街に入ると、一ヶ所に人だかりが出来ていました。

何かと思って近づいてみると、「カブキカフェ ナゴヤ座」の公演前の路上パフォーマンスでした。

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集まった観客は女性が多く、皆それなりに熱心なファンのようでした。

私も暫く観ていましたが、若い役者さんのスピード感あるパフォーマンスは、結構面白かったですね。

この商店街の集客の仕掛けが一瞬垣間見られたようで、興味深かったです。

路上パフォーマンスが終わると、また閑散となりましたが、どこかホッとリラックスできるような雰囲気の商店街でした。

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店舗の構成も、数は少ないですが古くからの店とお洒落なカフェなどが混在して、それなりの魅力は感じられます。

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でも、先に訪れた「大須商店街」ほどの賑わいにはまだまだ遠い感じですね。

隣接する「四間道(しけみち)」では多くの町家が残されていて、それらを活かしたショップや料理店、カフェなどが増え、お洒落な町へと変わってきています。

この「四間道」と、より上手に連携していけば、商店街としても今以上に活性化するだろうと感じました。

いつも言っていることですが、商店街は、地元の住民に支持されないと生き残っていけません。

地域住民が日常的に買い物や飲食などで利用する、魅力ある環境を提供し続けられるかどうか。

それが、この昭和の香り漂う庶民派商店街の将来を占う鍵となるように思いました。


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堀川と四間道あたり(名古屋その7)

仕事柄、あちこちの街を歩いていると、良い街に共通した条件があることに気づきます。

その一つが、街なか(or 街の近く)に川が流れていること。

名古屋の場合は、近くに庄内川が流れていますが、街なかからは少し距離があります。

そこで近年、地域おこしなどで活用すべく注目されているのが堀川です。

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堀川は江戸時代の初め、名古屋城築城の天下普請に際して資材運搬を目的に掘削された水路が、そのルーツだとか。

上の写真は、市内西区にある四間道(しけみち)あたりで撮ったもの。

向こうに見える橋は「五条橋」です。

なかなかの風情に写っていますが、川の水自体は少し濁っているように見受けられました。

調べてみると、堀川には源流らしき水源がないため、新たな水の供給が少なく水質向上が、なかなか難しい由。

それにしても折角の親水空間なので、何とか地域づくりに活かして欲しいと思います。

近年では、遊歩道に沿ってお洒落な飲食店(カフェなど)等も出来ているようなので、今後の展開に期待したいですね。

次の写真は、「四間道(しけみち)」を撮ったもの。

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堀川沿いにあって、江戸初期に名古屋開府にあたって当地へと移ってきた商人たちが住んだ場所だそう。

元禄期に起きた大火の後、防火を目的に道幅を四間(約7m)へと拡張したことから「四間道」と名付けられたとか。

今も、土蔵や町家が連坦して続く景観は、なかなか見応えがあります。

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「四間道」周辺に残る町家を活用したショップや料理屋、カフェなどが増え、このあたりは注目されるエリアとなっています。

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次に名古屋を訪問したときは、ぜひ「四間道」周辺で食事してみたいと思うほどでした。

このあたりの散策は、おススメです。

きっと何か新しい発見があると思いますよ。


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夕暮れどきの「オアシス21」(名古屋その6)

夕暮れどきの街並みを見ようと、名古屋の繁華街・栄にある「オアシス21」へとやってきました。

ここは、公園・バスターミナルなどの公共施設と商業施設との複合施設で、2002年に開業したところ。

斬新なデザインが特徴で、「水の宇宙船」と呼ばれる空中に浮かぶガラスの大屋根がシンボルとなっています。 

高さが14mあるガラスの大屋根の上には、水が張られていて、その周囲約200mを散策することが出来ます。

実際に歩いてみると、まるで空中を散歩しているような感覚にとらわれました。

その浮遊感が何ともいえず心地よかったですね。

ここから見る名古屋の街並みは、夕焼け空と相まって、とても素晴らしかったです。

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反対の方角となる愛知芸術文化センター側を見ると、まるで未来都市のような景観が広がっていました。

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名古屋の街では、一つひとつの建造物(特に公共施設)がどれも立派で、しっかりと造られているという印象を受けます。 さすがに、モノづくりで繁栄してきた街ならではですね。

それに、何といっても名古屋は ”ユネスコのデザイン都市” に認定されているのも大きいです。(国内では、他に神戸市が認定されています)

オアシス21」からは「名古屋テレビ塔」が、手に取るような近さで見ることが出来ます。

このテレビ塔は、1954年に完成した日本初の集約電波塔ですね。

高さは180mで、名古屋のシンボルとして長らく親しまれてきました。(ちなみに札幌テレビ塔は1957年完成で147.2mです)

ところが訪れてみると、テレビ塔は耐震&リニューアル工事のため休業中で真っ暗でした。

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テレビ塔などの夜景を楽しみに訪れましたが、今回は残念ながら果たせませんでした。

リニューアル・オープンは2020年7月を予定しているとか。

テレビ塔が復活したら、またここから眺めるべく再訪したいと思います。 

 
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名古屋めし(名古屋その5)

名古屋での楽しみの一つに「名古屋めし」があります。

「名古屋めし」は、当地の名物料理を指す造語ですが、その多くは「B級グルメ」の範疇にはいるものです。 

基本的に味付けが濃厚で、個性的な料理が多いですが、食べ慣れると無性にその味が恋しくなるという、一種、習慣性(中毒性)のある料理とも言えます。

その昔、転勤で当地に住んでいた頃は、味噌ベースの濃い味付けに魅了されて病みつきになるほどでした。 

ミシュランガイド愛知・岐阜・三重特別版(2019年)には、ビブグルマン等の評価で、味噌煮込みうどん、ひつまぶし、味噌カツきしめん、天むす等を供する料理店が選ばれています。

写真は「味噌煮込みうどん」を撮ったものです。

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土鍋を用いて味噌仕立てで煮込んだ饂飩ですね。

辛めの味噌味に固ゆでの麺が絡まった味は絶品でした。

今回は、短い滞在中に2度も食べてしまいました。

次の写真は、きしめんです。

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名古屋中心部の繁華街(錦三)で、夜遅くに食べたもの。

これは、アッサリ系の味ですが、結構美味しかったです。

この他、夕食は居酒屋の「名古屋めし」コースにしたので、ひつまぶしや海老フライなどが次々に出てきて楽しめました。

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宿泊したホテルの朝食にも、きしめんやひつまぶしが出てきたので「名古屋めし」を存分に堪能できた旅でした。

ただ残念ながら、時間の関係で喫茶店のモーニングには行けませんでした。

これは次回の楽しみにとっておきたいと思います。

ここまで書いてきて急に思い出したことがあります。

それは、名古屋に赴任中、会議などでコーヒーの出前を取ると、必ず小袋に入った”つまみ”(ピーナッツやあられ等)が付いてきました。

それを、ポリポリ、カリカリと音を出して食べながら、皆で会議をやったことを大変に懐かしく思い出しました。

この経験は、名古屋ならではですね。

良い思い出として、今も心に残っています。

 
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名古屋城・西南隅櫓、金シャチ横丁(名古屋その4)

名古屋城では、公開中の西南隅櫓(せいなん・すみやぐら)に登ってみました。

西南隅櫓(本丸未申櫓とも)は二重屋根、内部三層の櫓で、かつては武具などが収納されていたそう。

大正10(1921)年に災害により倒壊したものの、大正12年に修復されて現在に至っています。 今は、国の重要文化財に指定されています。

急な階段をようやくの思いで登った上層階からは、次のような名古屋市街が見えました。

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その昔、転勤で当地に住んでいた頃と比べると、名古屋も高層ビルの数が格段に増えましたね。

当時は、広い道路と沢山の地下街がやけに目立つ街でしたが、高層ビルが立ち並んで街の構造がより立体化したように感じます。

緑も増えたようで、なかなかに良い街へと成長しているように感じました。

天守閣が閉鎖中で入れなかった代わりに、この西南隅櫓から市街地を眺められて少しは気分が収まりました。 

次の写真は、西南隅櫓の内部を撮ったものです。 変哲もない写真ですが、参考までに載せておきます。

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城の正門をでたところにあるのが、金シャチ横丁(2018年開業)です。

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ここには、定番の名古屋メシ(味噌煮込みうどん、ひつまぶし、名古屋コーチン矢場とん等)を提供する店舗が集まっています。

平日の午後だったせいか、人影もまばらな印象でしたが、名古屋名物を一ヶ所で堪能できる施設はなかなかに貴重ですね。

ということで、次回は名古屋メシについて書いてみたいと思います。


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名古屋城本丸御殿(名古屋その3)

この週末は、TVでスポーツ観戦をしていました。

ラグビーワールドカップの準決勝で、ニュージーランドが敗れたのには驚きましたね。

今回はイングランドの圧勝といってもよい内容でした。 オールブラックスを応援していただけに少し残念です。

また、箱根駅伝の予選会も面白かったです。

順当に10位以内を確保した大学もあれば、本戦出場を逸した大学もあって、悲喜こもごもの様子が展開されていました。

個人的には、筑波大学が本戦出場権を得たのが嬉しかったです。

何といっても、箱根駅伝の第1回優勝校(東京高師=筑波大学の前身)という伝統校ですからね。 いまから正月の本戦が楽しみです。

さて、「名古屋の旅」の続きです。

 名古屋城では、平成30年から公開されている本丸御殿を見学しました。

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本丸御殿は、尾張藩主の住居・政庁として使用するため、慶長20(1615)年に徳川家康によって建築されたものです。

総面積は約3,100㎡、部屋数は30を超えるという広大な平屋建ての建物でした。

それが昭和20年、第二次大戦の空襲によって焼失したことから、平成になって復元されました。

公開は平成30年6月からで、老朽化により閉鎖(入場禁止)された天守閣と丁度、入れ替わる形となっています。

見学した本丸御殿は、なかなかに立派な造りで、当時の御殿の様子がうかがえて興味深かったです。

次の写真は、対面所上段之間です。

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ここは藩主が私的な対面を行う場所だとか。

描かれているのは京都の風景で、落ち着いた空間となっています。

次の写真は、御湯殿書院を撮ったもの。

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奥にある扉の先が蒸し風呂となっていたそう。

中をのぞくと、暗くて、かなり狭かったのが印象的でした。

外国人観光客も沢山見学に訪れていて、熱心に見学をしていました。

御湯殿書院等での案内人の説明は、日本語だったので外国人がどこまで理解出来たか、やや心許ないですね。

国際観光を目指すのであれば、少なくとも英語での案内も必須だと思います。

本丸御殿の見学は興味深くて面白かったのですが、個人的には、天守閣に登って名古屋の街を一望したかったです(本丸御殿と比べるのがおかしいかもしれませんが)。

  
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