観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

原茂ワイン(山梨・勝沼#5)

勝沼では、原茂(はらも)ワインにも訪れました。

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ブドウの一大産地である山梨県には、およそ80社のワイナリーがあります。 

その数は、ダントツに日本一ですね。

ちなみに、その次に多いのは長野県と北海道で、それぞれ34社あります(平成29年3月末現在)。

山梨県のなかでは30社ほどが、ここ勝沼甲州市)に集中して立地しています。

大手資本から小さな家族経営まで様々ですが、やはり特色があって訪ねて面白いのは地場の小さなワイナリーですね。

原茂ワインは大正14年1924年)の創業です。

原茂という名前は屋号で、昔、原と呼ばれる地名であったことと、代々茂左衛門を襲名していたことに由来するとか。

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年間生産量は50klと小規模ながら、勝沼の風土に合った丁寧なワイン造りをしている醸造所と評価は高いです。

とりわけ上の写真にあるように、築120年ほどの古民家をショップとカフェに改造していて、この建物を見るために訪れる人(私のことです)もいるワイナリーです。

建物の前には、一面にブドウ棚があって2階にあるカフェのテラスから眺めることができます。

建物の1階は、試飲兼ショップですね。

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ここが生みだす「ハラモ ヴィンテージ 甲州シュール・リー」は、多くの人が一押しするお勧めのワインです。

2階にあるカフェの居心地もいいですね。

私が訪れた時には、庭にワイナリードッグのボーダーコリー君がいましたが、今も元気にしているでしょうか。

勝沼に行かれたら、ぜひ立ち寄ってみてください。

但し、4月~11月の期間営業です。

ここはおススメします。

 
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勝沼醸造&レストランテ「風」(山梨・勝沼#4)

勝沼甲州市)のフットパスを歩いている途中に、勝沼醸造を訪ねました。

ここは昭和12年(1937年)に創業された地場のワイナリーですね。

勝沼醸造の特徴は、地元の甲州産ブドウに徹底してこだわったワイン造りを続けていること。

もちろん、自前のブドウ畑も所有しています。

そのテロワール(ブドウ畑のある土地の性質等)を存分に活かした白ワイン「アルガブランカ」は、今では世界に認められるワインへと成長しています。

写真は、勝沼醸造の外観を撮ったもの。

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昔ながらの白壁の蔵を備えた立派な古民家風の建物ですね。

まるで日本酒の蔵元を訪ねたような感覚になりました。

かつてはここでワインを造っていたそうですが、現在は郊外の工場で醸造しているそう。

写真の建物は、ワインの試飲などビジターセンター的な役割を担っています。

続いて訪れたのが、少し離れたところにあるレストランテ「風」です。

ここは勝沼醸造が直営するレストランですね。 

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勝沼のやや小高い丘に建っていて、周辺に広がるブドウ畑がよく見渡せます。

建物に入ると、高い天井がまるで教会のようでした。

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オーナーが大浦天主堂(長崎)をイメージして造ったものとか。

昼時をかなり過ぎていたせいか、客席の人影はまばらでした。

ランチに合わせて注文したのが、樽発酵の白ワインです。

果実香と熟成時の樽の香りが合わさって、何とも複雑でボリュームある味わい。

とても美味しかったです。

料理も美味しくて、一人でしたが、ゆっくりと食事できました。

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デザートはこんな感じでした。

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晩秋のブドウ畑を眺めながら、しばらくボーっとできて、とても幸せな時間を過ごせました。

ここには季節を変えて、またワインと食事を楽しみに訪れたいと思います。


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勝沼フットパス(山梨・勝沼#3)

JR中央本線の「勝沼ぶどう郷駅」周辺は勝沼フットパスのコースとなっています。

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フットパスとは、英国発祥の散策道のことですね。

森林や田園地帯、古い町並みなど地域に昔からある、ありのままの風景を楽しみながら歩く(Foot)ことができる小径(Path)のこと。

英国では、人々の生活を通して自然発生した小径を、私有地であったとしても一定のルールのもとに通行する権利を認めています。

これによって、今では地球6周分ものフットパス・コースが整備されているそう。

日本でも、いま各地でフットパスへの取り組みが進んでいます。 

昨年(2019年)の9月には、兵庫県北部の豊岡市などで「全国フットパスの集い2019 in 但馬」が開催されるなど、その認知度も向上しつつあります。

勝沼では、ぶどうの丘コース(約3㎞)などが整備されて、ぶどう園やワイナリー、近代化遺産(トンネルワインカーヴ、龍憲セラー、宮光園など)、温泉(ぶどうの丘)等を歩いてまわれるようになっています。

日本の観光も成熟化してきたせいか、最近は個人やグループでゆっくりと歩いて見てまわる旅に抵抗感がなくなってきました。

むしろクルマなどより、歩きやランニングの方がクール(かっこいい)と思われる時代ですね。 

TVでも「旅ラン」(NHK)という番組が人気で、私もよく見ています。

運動にもなるし環境にもやさしい。

この点でフットパスは、とても優れた小さな旅の形だと思います。

それに、他人の庭先や畑の近くなどをキョロキョロしながら歩いても、さほど怪しまれることも少ないです(程度問題ですが)。

まち歩き専門の旅行者(私のことです)にとっては、とてもありがたいですね。

写真は、フットパスを歩きながら撮った小さなワイナリーです。

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次の写真は、晩秋のブドウ畑を撮ったもの。

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ブドウの取入れも終わって、やや寂しさを感じる畑の景色です。 

民家の隣にあったブトウ畑では、葉が色付いていました。 思いのほか鮮やかな色に驚きました。

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勝沼のフットパスでは、普段見慣れない風景が多くて、楽しみながら歩くことができました。


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勝沼トンネルワインカーヴ(山梨・勝沼#2)

前回に紹介した「大日影トンネル遊歩道」(現在は閉鎖中です) を歩いて抜けると、その先にあるのが「勝沼トンネルワインカーヴ」です。

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写真でも分かるように、このワインカーヴは、JR中央本線の旧深沢トンネルを活用したものです。

明治36年1903年)完成の石積みトンネルで、全長はおよそ1,100mあります。

完成からおよそ100年経った平成9年(1997年)にJR中央本線の線路付け替えに伴って廃止され、JR東日本から地元の勝沼町(現在の甲州市)へと無償譲渡されました。

勝沼町では、トンネル内の環境(温度、湿度など)がワインの保管・熟成に適していることから、平成17年(2005年)よりワインカーヴとして開業しています。

トンネルの扉は閉ざされていますが、近くにある事務所に頼めば内部を見学させてもらえます。

実際に見学すると、トンネルのなかはワインの保管庫が延々と並んでいました。

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なかなかに壮観な眺めです。

720mlボトル換算で、1区画300本が収納可能だとか。 

保管料は月額2,500円(1区画)だそう。

ワインカーヴ全体では、およそ100万本の収容能力があり、地元のワイナリーのほか東京あたりの個人客も預けに来るとかで、保管庫は満杯とのことでした。

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空き待ちには複数年かかるようですが、キャンセル待ちは受け付けているとのこと。

その盛況ぶりには、少しばかり驚きました。

確かに、甲州ワインなどが世界的に評価を高めてきているなか、ワイン関連市場の伸び代も大きいのでしょう。

近代化遺産を、そのまま展示(公開)するだけでなく、知恵をだして活用しつつ付加価値を高めていく。

地域活性化や観光振興にとって、優れた手法だと感心しました。

 
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大日影トンネル遊歩道(山梨・勝沼)

最近、ワインツーリズムについてリサーチする機会がありました。

たまたまブドウ(ワイン)の産地・勝沼(山梨・甲州市)について検索していたら、「大日影トンネル遊歩道」が平成28年(2016年)から閉鎖されているとのこと。

老朽化による安全面での課題があったようで、再開時期は不明とのことでした。

勝沼には、これまで何度か出かけたことがあります。

当時の写真が残っていたので、今回から勝沼のワインツーリズムについて書いてみたいと思います。

明治期に日本初の国産ワイン会社が生まれた勝沼には、現在およそ30ものワイナリーが集まっています。

ちなみに、日本初のワイナリーは「大日本山梨葡萄酒会社」(明治10年(1877年)創業)、後のメルシャン株式会社ですね。

JR中央本線勝沼ぶどう郷駅」の周辺には、ブドウ畑やワイナリーなどが点在し、欧州生まれのフットパスも整備されています。

東京から普通電車を乗り継いで勝沼へと向かったのが、秋も深まった11月でした。

JR「勝沼ぶどう郷駅」から、すぐのところに「大日影トンネル」があります。

写真は、トンネル内の遊歩道から紅葉を撮ったものです。

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「大日影トンネル」が完成したは、明治36年1903年)のこと。

鉄道の開通によって勝沼産のブドウやワインが大消費地・東京までいち早く運べるようになりました。

平成9年(1997年)には、隣に新しいトンネルが完成したことから廃止され、JR東日本から旧勝沼町(現在の甲州市)へと無償譲渡されました。

それを遊歩道にして公開したのが「大日影トンネル遊歩道」です。

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全長1.4㎞もあって、鉄道トンネル遊歩道としては全国一の長さでした。

訪れたときは、まだ公開中で、なかに入るとレールなど昔の姿そのままに残されていました。

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薄暗いトンネル内では、隣接する現役トンネルを列車が走る音がよく聞こえます。

まるで、トンネルの向こうから汽車が走ってきそうなリアルさがありました。

およそ20分ほどで反対側の出口に到着。

その間、誰とも会わず、少し心細かったことを今も覚えています。

まあ、一人旅には慣れているので、写真を撮りながらの歩きは楽しかったですけどね。

勝沼の面白さは、ワイナリーやブドウ畑だけでなく、このような近代化産業遺産が残されていることにあります。

食(ワイン)と産業遺産のコラボによって、勝沼の観光資源には他にはない厚みが生まれています。

ここは、地域の魅力づくりにとって、優れた参考事例となるところですね。


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リニューアルした「銀座線渋谷駅」(東京メトロ)

今年(2020年)の年始(1月3日)から、銀座線渋谷駅(東京メトロ)がリニューアルされました。 

これは、現在進められている渋谷駅周辺の大規模再開発プロジェクトの一環ですね。

銀座線渋谷駅の新しいホームは、こんな様子です。

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緩やかに湾曲したM字型のアーチ状の屋根に、柱のない広々としたホーム、白を基調とした内装など、なかなかにお洒落な仕上がりとなっています。

コンセプトは「近未来的な駅」だとか。

確かに銀座線の小ぶりで黄色い電車とは、よく似合っていますね。

ホームと線路の配置も、これまでの乗車・降車用に分かれていた相対式(2面2線)から、線路に挟まれた島式(1面2線)へと変更されました。

これによりホーム幅が約6mから約12mに拡幅されたそうで、以前よりは乗降が楽そうな印象です。

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ところで私は、この駅を毎日の通勤で利用しています。

これまでは、駅内やホームに入るのにも一苦労するほどの狭さでした。

混雑する朝の通勤時には、改札外で長蛇の列となることもしばしばだったほど。

リニューアル後は、ホームが広がって乗降も比較的スムーズとなりましたが、個人的には通勤時の乗り換え(京王井の頭線と地下鉄銀座線)の苦労が増えたというのが実感です。

新しいホームが遠くに移設されたうえ、乗り換え動線も複雑で歩きにくくなってしまいました。

まあ、渋谷地区全体の再開発工事が終わるまでは仕方のないことなのでしょう。

でも、一体いつになったら全ての工事が終わるのやら。

まったくの謎ですね。

印象としては、東京五輪までどころか半永久的に工事が続きそうな気がしますが・・・。

うんざりしながら、相変わらずの通勤ラッシュに耐える毎日です。


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大淀川河畔など(宮崎市)

宮崎市の中心街から少し南に歩くと、大淀川と出会います。

大淀川は、鹿児島県曽於市を源として宮崎平野を流れ、日向灘へと注ぐ全長107㎞の大河です。

河口に近い宮崎市内の川面は広く、満面に湛えた水がゆったりと流れる様子は、まさに雄大です。

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この河畔からの眺めが好きで、宮崎に来るたびに訪れています。

写真の左手の建物はホテル群で、部屋からの眺め(特に夕陽に映える大淀川の景色)は最高ですね。

九州では珍しいことに、近年まで宮崎市内には温泉がありませんでした。

そこで大淀川河畔にあるホテルが共同で掘削したのが「たまゆらの湯」です。

温泉の名前は、この大淀川河畔が舞台となった川端康成の小説『たまゆら』からとったもの。

たまゆら(玉響)」とは、勾玉(まがたま)が互いに触れ合うときのかすかな響きのこと。 ”ほのかな風情” を表す言葉として使われるらしい。

また、川端康成原作の『たまゆら』は、NHK連続テレビ小説の第5作として昭和40年(1965年)に放映されました。

このときの主演は笠智衆で、NHKの朝ドラで男性が主演した珍しい例のひとつでもあります。

と言っても、かなり昔の話なので知らない(興味がない)人が大半だとは思いますが・・・。 一応、こんなことがありました、ということで書いておきます。

今回の旅では、河畔にあるホテルに泊まって部屋からの景色を眺めたり、ゆっくりと温泉に浸かってきました。

温泉は、泉温44度と少しぬるめの塩化物泉で、入ると潮の香りがしました。 のんびりと浸かるには格好のお湯ですね。

なお、この大淀川にはJR日豊本線の鉄橋があって、夕方から夜にかけて列車が通る様子はとても幻想的です。

鉄ちゃん、鉄子にはもちろんのこと、そうでない人にも大のお勧めスポットとして推薦したいと思います。

さて、そろそろ宮崎の旅もお仕舞いです。

宮崎最後の写真は、子猫で締めたいと思います。

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この子猫、私の顔を見るなり側まで飛んできました。 お腹が空いていたのでしょうかね。

良い町には、何故か猫が沢山住んでいます。

そんな宮崎に、機会があれば、ぜひ一度行ってみてください。


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