少し前の日経新聞に「日本人旅行者も大切だ」という論説が掲載されていました。(2015年10月12日付朝刊、時流・地流)
その論説記事では、インバウンド(訪日外国人)の大波に乗り切れていない四国・香川県で、今こそ日本人旅行者の満足度を高め、リピーターを増やそうと官民が動きだした事例が紹介されています。
そして、観光庁の年間予算の8割がインバウンド振興向けだが、国内観光の盛り上げにもっと振り向けるべきだと主張されています。
私は、この主張に大いに賛成です。
訪日外国人旅行者数の増加には著しいものがあり、その活発な消費活動が日本経済に少なからぬ寄与をしていることは確かです。
昨年(2014年)の訪日外国人による消費額は2兆円強、今年(2015年)は円安や免税品拡大等もあって3兆円を超えると見込まれています(10月22日付日経新聞)。
一方、国内旅行消費額は、2014年で18.8兆円です。ここ数年は伸び悩んで20兆円を若干下回る水準で推移しています(観光白書)。
ここから分かることは、伸び率は訪日外国人市場、ボリューム(規模)は国内旅行市場だという点です。
大切なことは、両者へのバランスある対応や対策が必要ということでしょう。
いまインバウンドは絶好調ですが、今後それが永続的に続く保証はありません。むしろ、その持続可能性については不透明だと考えておいたほうが自然だし安全です。(訪日客消費の47%を占める中国の景気減速、為替動向、地震・SARSやテロ等のイベントリスクなどなど)
本来、観光のターゲットに、外国人も日本人も区別はないはずです。特に地域観光においては、外国人向けの観光振興と日本人向けの観光振興に基本的な違いはありません。
観光振興の要諦は、リピーターの確保にあります。
一度訪れた観光地を、もう一度訪れてみたいと思わせられるかどうか。ここが観光立国たりうるかどうかの分かれ目ですね。
そのためには、日本各地で持てる地域資源(自然、歴史・文化、地場産業等)を活かし、個性と活気ある地域を出来るだけ沢山創りだすことです。
これによって日本全体が、多様性ある魅力ある国となっていくことが期待されます。
このような努力を全国の地域が続けていけば、自ずと観光客(外国人、日本人を問わず)はやってくるでしょう。
いま我々には、目先の購買力対応だけでなく、戦略的かつ地道な地域の魅力創出への取り組みが求められているのです。
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