こうして実際に旅してみると、話に聞いていた庄内地方の豊かさが実感されます。
私は以前から、食だけで旅行者は誘致できない、と主張してきました(このためB級グルメのまちおこしには懐疑的です)。
食は付随的なもので、旅行者の一番の目的はその土地の文化・歴史、環境などに触れることだからです。
でも、旨い食がなければ、ヒトが訪れてくれないこともまた事実です。
望むらくは、特産物ブランドと文化・環境ブランドを両立させたまちづくり(統合ブランドづくり)を成功させることでしょう。
これは、産業振興と地域おこしを融合させることでもあります。
庄内の目指すべき道も、この統合ブランドをいかに確立していくか、という点にあります。
その一つの動きが、今、盛んに取り組んでいるロケ誘致でしょう(庄内地方を日本のハリウッドにしよう、という壮大な計画)。
庄内映画村の活動や、山形県が2009年度から始めたロケ誘致支援(要件に合った作品について年間4件まで、1作品1千万円を上限に助成、助成第一号は「十三人の刺客」)などが効果をあげ始めています。
ロケ誘致には、観光客の増加のほかにも、地元住民の地域への誇りや愛着心を醸成し、魅力ある地域づくりの原動力となる効果が期待できます。
こうして文化・環境ブランドや観光ブランドが育成され、地域イメージの向上とともに、庄内ブランドの価値が次第に高まっていくことが期待されます。
一度訪れても、もう一度来てみたいと思わせる土地は、そう多くありません。
でも、庄内では近い将来にまた訪れるだろう、という気持ちになった旅でした。
写真は、庄内平野で稔る田んぼ(鶴岡市)を撮ったもの。 バッタやカエルなどが飛び跳ねる豊かな実りでした。
もう一枚は、酒田市の山居倉庫。 写真家・土門拳の作品と同じ構図で撮ってみました。
(庄内の項、終わり)