前回まで"京都と水"について綴ってきましたが、今回からは"京町家"です。
京都の街を歩いていると、昔ながらの町家建築(京町家)に出会います。
京町家といっても統一された定義はなく、京都市景観・まちづくりセンターによれば、次のような建物だそう。
「一般的に敷地形状は、うなぎの寝床といわれるように奥行きが長く、構造は伝統的な軸組木造であり、間取りには通り庭、続き間、坪庭、奥庭を保っているか、それらを過去に有していた建物を京町家と呼んでいる」
写真は、京都の街なかで、たまたま見かけた町家を撮ったもの。
この建物には、町家特有の意匠が施されています。
格子戸、出格子、虫籠窓(むしこまど)、ばったり床几、などなど。
下の写真は、虫籠窓と鍾馗さんをアップで撮ったもの。
虫籠窓(むしこまど)は、虫籠(むしかご)のような窓のこと。
角材に土を塗って漆喰と一体化させた防火構造になっています。
唐の玄宗皇帝の夢に現れて、疫鬼を退治したとか。
京町家は、残念なことに経済性優先のなか、高層化や防災化などを理由に取り壊され、次第に数が少なくなっています。
一方で、京都の風情や景観維持のためには、町家の保存や保全が大きな課題とされています。
経済性や防災性等とのせめぎ合いのなかで、貴重な地域資産を、どこまで未来へとつないでいけるか。
そのための活用や保全のための知恵と工夫が問われているようです。
(京町家、次回に続きます)