前回に続いて、仙厳園(別名:磯庭園)の訪問記です。
仙厳園(せんがんえん)は薩摩藩・島津家の藩主別邸跡ですね。
錦江湾に浮かぶ桜島を借景とした広大な敷地には、伝統的な建造物や遺構が点在していて、鹿児島の歴史や文化、風土などに触れることができます。
今回は、久しぶりに訪れた園内で、個人的に興味深かった(面白かった)ものについて書いてみたいと思います。
まずは、示現流・自顕流の稽古風景を撮った写真から。
流祖は、同藩の剣豪であった東郷重位。 名前の「示現」は、仏教経典「法華経」のなかの経文「示現神通力」から命名されたといわれています。
薩摩藩では御留流とされ、同藩内のみで伝承されてきました。
その特徴は「二の太刀要らず」と言われるように、初太刀で勝負する「先手必勝」の鋭い斬撃にあります。
このほか薩摩には、藩士・薬丸兼陳が示現流を修めた後に編み出した自顕流(じげんりゅう)もあります。
ネットで調べると、示現流は立木打ち、自顕流は横木打ちの稽古をすると出ていたので、園内で見学したのは自顕流かもしれません。
幕末の生麦事件(1862年)で馬上の英国人に初太刀を浴びせたのは、自顕流を修めた薩摩藩士だったといわれています。
たしかNHK大河ドラマ「西郷どん」(2018年)でも、稽古の場面がでてきましたよね。
今回、実際の稽古風景を見ていると、なかなかに厳しそうな雰囲気がありました。
こうした流派が、現在も続いているというのは凄いことだと思います。
ちなみに、私も小学校から高校時代まで剣道をやっていた(下手でしたが)ので、その凄さが少しは分かります。
次の写真は、園内に祀られている猫神神社を収めたものです。
文禄・慶長の役(1592~1598年。秀吉の朝鮮出兵)に際して、17代島津義弘公は朝鮮半島に7匹の猫を連れていき、猫の目の瞳孔の開き具合で時刻を推測したと伝わっています。
そして、この神社には朝鮮半島から生還した2匹の猫の霊が祀られているそう。
猫神様を祀った神社は、たぶん日本でもここだけだと思いますね。
続いての写真は、山神・水神の祠です。
反射炉跡のすぐ近くに、苔むした祠が祀ってありました。
かなり昔からあるようで、その由来はよくわかっていないようです。
以上のように仙厳園を細かく見て歩くと、結構、興味をひかれる歴史的な遺構などが残されていました。
ここでは時間があっという間に経ってしまったという感じで、充実した時を過ごすことが出来ました。
仙厳園は、皆さんに自信をもっておススメできる歴史的スポットです。