観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

大日影トンネル遊歩道(山梨・勝沼)

最近、ワインツーリズムについてリサーチする機会がありました。

たまたまブドウ(ワイン)の産地・勝沼(山梨・甲州市)について検索していたら、「大日影トンネル遊歩道」が平成28年(2016年)から閉鎖されているとのこと。

老朽化による安全面での課題があったようで、再開時期は不明とのことでした。

勝沼には、これまで何度か出かけたことがあります。

当時の写真が残っていたので、今回から勝沼のワインツーリズムについて書いてみたいと思います。

明治期に日本初の国産ワイン会社が生まれた勝沼には、現在およそ30ものワイナリーが集まっています。

ちなみに、日本初のワイナリーは「大日本山梨葡萄酒会社」(明治10年(1877年)創業)、後のメルシャン株式会社ですね。

JR中央本線勝沼ぶどう郷駅」の周辺には、ブドウ畑やワイナリーなどが点在し、欧州生まれのフットパスも整備されています。

東京から普通電車を乗り継いで勝沼へと向かったのが、秋も深まった11月でした。

JR「勝沼ぶどう郷駅」から、すぐのところに「大日影トンネル」があります。

写真は、トンネル内の遊歩道から紅葉を撮ったものです。

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「大日影トンネル」が完成したは、明治36年1903年)のこと。

鉄道の開通によって勝沼産のブドウやワインが大消費地・東京までいち早く運べるようになりました。

平成9年(1997年)には、隣に新しいトンネルが完成したことから廃止され、JR東日本から旧勝沼町(現在の甲州市)へと無償譲渡されました。

それを遊歩道にして公開したのが「大日影トンネル遊歩道」です。

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全長1.4㎞もあって、鉄道トンネル遊歩道としては全国一の長さでした。

訪れたときは、まだ公開中で、なかに入るとレールなど昔の姿そのままに残されていました。

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薄暗いトンネル内では、隣接する現役トンネルを列車が走る音がよく聞こえます。

まるで、トンネルの向こうから汽車が走ってきそうなリアルさがありました。

およそ20分ほどで反対側の出口に到着。

その間、誰とも会わず、少し心細かったことを今も覚えています。

まあ、一人旅には慣れているので、写真を撮りながらの歩きは楽しかったですけどね。

勝沼の面白さは、ワイナリーやブドウ畑だけでなく、このような近代化産業遺産が残されていることにあります。

食(ワイン)と産業遺産のコラボによって、勝沼の観光資源には他にはない厚みが生まれています。

ここは、地域の魅力づくりにとって、優れた参考事例となるところですね。


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リニューアルした「銀座線渋谷駅」(東京メトロ)

今年(2020年)の年始(1月3日)から、銀座線渋谷駅(東京メトロ)がリニューアルされました。 

これは、現在進められている渋谷駅周辺の大規模再開発プロジェクトの一環ですね。

銀座線渋谷駅の新しいホームは、こんな様子です。

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緩やかに湾曲したM字型のアーチ状の屋根に、柱のない広々としたホーム、白を基調とした内装など、なかなかにお洒落な仕上がりとなっています。

コンセプトは「近未来的な駅」だとか。

確かに銀座線の小ぶりで黄色い電車とは、よく似合っていますね。

ホームと線路の配置も、これまでの乗車・降車用に分かれていた相対式(2面2線)から、線路に挟まれた島式(1面2線)へと変更されました。

これによりホーム幅が約6mから約12mに拡幅されたそうで、以前よりは乗降が楽そうな印象です。

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ところで私は、この駅を毎日の通勤で利用しています。

これまでは、駅内やホームに入るのにも一苦労するほどの狭さでした。

混雑する朝の通勤時には、改札外で長蛇の列となることもしばしばだったほど。

リニューアル後は、ホームが広がって乗降も比較的スムーズとなりましたが、個人的には通勤時の乗り換え(京王井の頭線と地下鉄銀座線)の苦労が増えたというのが実感です。

新しいホームが遠くに移設されたうえ、乗り換え動線も複雑で歩きにくくなってしまいました。

まあ、渋谷地区全体の再開発工事が終わるまでは仕方のないことなのでしょう。

でも、一体いつになったら全ての工事が終わるのやら。

まったくの謎ですね。

印象としては、東京五輪までどころか半永久的に工事が続きそうな気がしますが・・・。

うんざりしながら、相変わらずの通勤ラッシュに耐える毎日です。


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大淀川河畔など(宮崎市)

宮崎市の中心街から少し南に歩くと、大淀川と出会います。

大淀川は、鹿児島県曽於市を源として宮崎平野を流れ、日向灘へと注ぐ全長107㎞の大河です。

河口に近い宮崎市内の川面は広く、満面に湛えた水がゆったりと流れる様子は、まさに雄大です。

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この河畔からの眺めが好きで、宮崎に来るたびに訪れています。

写真の左手の建物はホテル群で、部屋からの眺め(特に夕陽に映える大淀川の景色)は最高ですね。

九州では珍しいことに、近年まで宮崎市内には温泉がありませんでした。

そこで大淀川河畔にあるホテルが共同で掘削したのが「たまゆらの湯」です。

温泉の名前は、この大淀川河畔が舞台となった川端康成の小説『たまゆら』からとったもの。

たまゆら(玉響)」とは、勾玉(まがたま)が互いに触れ合うときのかすかな響きのこと。 ”ほのかな風情” を表す言葉として使われるらしい。

また、川端康成原作の『たまゆら』は、NHK連続テレビ小説の第5作として昭和40年(1965年)に放映されました。

このときの主演は笠智衆で、NHKの朝ドラで男性が主演した珍しい例のひとつでもあります。

と言っても、かなり昔の話なので知らない(興味がない)人が大半だとは思いますが・・・。 一応、こんなことがありました、ということで書いておきます。

今回の旅では、河畔にあるホテルに泊まって部屋からの景色を眺めたり、ゆっくりと温泉に浸かってきました。

温泉は、泉温44度と少しぬるめの塩化物泉で、入ると潮の香りがしました。 のんびりと浸かるには格好のお湯ですね。

なお、この大淀川にはJR日豊本線の鉄橋があって、夕方から夜にかけて列車が通る様子はとても幻想的です。

鉄ちゃん、鉄子にはもちろんのこと、そうでない人にも大のお勧めスポットとして推薦したいと思います。

さて、そろそろ宮崎の旅もお仕舞いです。

宮崎最後の写真は、子猫で締めたいと思います。

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この子猫、私の顔を見るなり側まで飛んできました。 お腹が空いていたのでしょうかね。

良い町には、何故か猫が沢山住んでいます。

そんな宮崎に、機会があれば、ぜひ一度行ってみてください。


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宮崎県庁舎(宮崎市)

街歩きのブログで県庁舎を取り上げるのは珍しいかもしれません。

その昔、転勤で鹿児島で仕事をしていたときに宮崎県も担当エリアだったので、この県庁舎にはよく訪れていました。 そのため、個人的にはかなり懐かしい建物となります。

次が、県庁舎の本館を撮った写真です。

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地上3階、地下1階の堂々たるネオ・ゴシック様式の建物。

完成したのは昭和7年(1932年)で、設計者は置塩章ですね。

現役(実際に使われている)の県庁舎としては、わが国で4番目に古いものらしい。

ちなみに、最も古いのは大阪府庁舎(1926年)で、神奈川県庁舎(1928年)、愛媛県庁舎(1929年)と続きます。 

余談となりますが、有名な北海道赤レンガ庁舎(道庁旧本庁舎)は明治21年1888年)の完成ですね。 現在は、資料館などとして使われています。

かつて有名タレントが宮崎県知事となっていた頃(2007~2011年)には、年間100万人もの見学者が県庁ツアーに訪れたとか。

当時は一大観光名所だったのですね。

今は、そんな喧騒もなく、庁内も落ち着いた雰囲気が漂っていました。

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庁舎を写真に収めていると、玄関の守衛さんがシャッターを押しましょうかと声をかけてくれました。 とても気さくな感じで、サザン・ホスピタリティーの素晴らしさを県庁でも体験することとなりました。

前庭には宮崎のシンボル(県木)であるフェニックスが植えてあり、南国ムードが漂っています。

この前庭で懐かしい花を見つけました。

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名前を「海紅豆」(かいこうず)といいます。

何気に字ずらも、響きも良い名前ですね。

原産地が南米で、マメ科デイゴ属の花木です。

沖縄県県花である「デイゴ」の仲間ですね。

夏から初冬あたりまで、枝の先に真っ赤な花をつけます。

久しぶりに宮崎で「海紅豆」に出会えて、とても懐かしく思いました。


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宮崎神宮(宮崎市)

あっという間に三連休も終わりましたね。

この休みは大学ラグビーの決勝と、トップリーグの開幕戦をTV観戦していました。 

古くからのラグビーファンですが、昨年のワールドカップから一層興味が湧き、これまで以上に熱心に観ています。

今週から新年の仕事が本格化ですね。 今年は暖冬で過ごしやすいですが、体調には気を付けながら何とか頑張りたいと思います。

さて、今回も宮崎の旅の続きです。

神話の国・宮崎に行くと、よく訪れるのが宮崎神宮です。

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主祭神神武天皇。 日本の初代天皇ですね。

宮崎神宮の創建時期は不明で、かなり古くからあるお社らしい。

ただ神武天皇をお祀りする古社ながら、江戸期までは地方の一古社にしかすぎなかったとか。

それが全国的に知られるようになったのは、明治維新王政復古の大号令が出されてからだそう。

境内の整備も明治期に入ってから積極的に行われて、現在の姿となったのは昭和15年(1940年)だとか。

写真は、狭野杉で造られた流造りの拝殿です。

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杉を社殿建築の用材とするのは珍しいと言われています。

このお社を設計したのは伊東忠太(元東京帝大教授)です。

築地本願寺平安神宮一橋大学兼松講堂などを設計した著名建築家ですね。

鬱蒼とした森のなかに鎮座する社殿は、シンプルな意匠ながら重厚感がありました。

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ここは参拝もさることながら、伊東忠太の作品を見るためにも訪れる価値のある神社だと思います。

宮崎に行かれる機会があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。

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とんど焼き(兵庫県太子町)

三連休は自宅でゆっくりと過ごしています。

この一週間は、賀詞交歓会や挨拶回りなどで珍しく飛び回っていました。

おかげで週末にはかなりの草臥れよう。 年始早々から体力のなさ(衰え)を実感することとなりました。 

今年は街歩きの旅を中心に、とにかく沢山歩くことで体力を維持(出来れば増進)したいと思っています。

前置きはこれくらいにして、故郷(兵庫県太子町)の知人から、この連休中に"とんど焼き"をやるよ、との連絡がありました。

"とんど焼き"は、正月に飾った松飾りや破魔矢、お守りなどを正月の終わる小正月(1月15日)に焼いて、歳神様をお送りするという年中行事(火祭り)です。

場所によっては"どんど焼き"とか"どんどん焼き"、"さいと焼き"などと呼ばれる地域色が濃い行事ですね。

"とんど焼き"が行われるのは、田んぼや河原など。

そこに竹や藁(わら)を使って櫓(やぐら)を組み、なかに松飾りなどを入れて焼き、その火にあたります。

書き初めを焼いて、高く舞い上がれば習字が上達するとも言われていました。

残り火で餅などを焼いて食べた記憶もありますね。

写真は、以前に帰省した際に撮った"とんど"です。

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"とんど焼き"には、招福と厄払いを願うという目的があるようです。

火を付けると、あっという間に燃え上がります。

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私の田舎では、この行事は一時廃れていましたが、近年また盛んに行われるようになってきました。

今年は残念ながら帰省できなかったですが、都会では味わえない貴重な年中行事なので、次回は参加できればと思っています。


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飫肥の商人町など(宮崎・日南市)

飫肥(おび)の町並みは、武家町として国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されています。

この町の見どころは城跡と武家町にありますが、一方で商人町の面影もわずかながら残されています。

場所は城跡からやや下がったところにあり、現在は道路拡幅などによってかつての様子も変わってしまったそう。

次の写真は、商人通りの一角にある商家資料館を撮ったもの。

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もとは妹尾金物店で、飫肥城下の商家町の代表的建築物ですね。

建物は明治3年(1870年)の築。 木造・白漆喰壁の土蔵造りで樹齢200年以上の飫肥杉を使っています。

見るからに豪壮な造りで、なかなか見応えがありました。

続いては、現在の商人通りを撮ったもの。

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道幅が広くなったせいか商人町としての風情は、さほど感じられません。

ただ電線地中化など周辺環境に配慮した建物や道路整備を行っているので、景観としてはスッキリとして優れたものになっています。

町なかでは、次のような景観にも出会いました。

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古い家並みの前に小川があり、鯉が放流されています。

水音もよく響いて、とても気持ちが良い環境空間を創り出していました。

民家の石垣の向こうから顔を覗かせている花を撮ったのが、次の写真です。

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この花は皇帝ダリアですね。

確か原産地はメキシコか中南米あたりで、最近日本でも見かけるようになりました。

飫肥のような純和風の城下町にも、外来種の花が案外と似合うものだな、と感心しました。

ともあれ、ここの町歩きは見どころも多いうえに歩きやすく、とても楽しかったです。


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