観光研究者の街歩きフォト日記

まちを歩き、観察する観光・地域ブランド研究者の写真ブログです。

津軽三味線を聴きに居酒屋へ(青森その5)

青森を訪れたら、津軽三味線の生演奏をぜひ聴きたいと思っていました。

そこで予約して出かけたのが「津軽じょっぱり漁屋酒場 青森本町店」。

居酒屋ですが、昔ながらの青森を再現した店内は、なかなか居心地が良かったです。

津軽三味線の演奏は、19時頃から始まりました。

演奏はコの字型のカウンター席の目の前だったので、じっくりと興味深く聴くことができました。

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演目は津軽民謡ですね。 三味線や民謡などの解説もあったので、結構興味深く楽しめました。 

この店のウリが「ここ一軒で青森県を満喫」とのことで、料理も魚介を中心にいろいろなメニューがありました。

今回は新鮮な魚介類のほか、以前から食べてみたかった「せんべい汁」を注文しました。

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せんべい汁」は、肉やきのこ、野菜などが入っただし汁に、小麦粉と塩で作られた ”南部せんべい” を割り入れて煮込むという南部地方(八戸など)の郷土料理ですね。

汁もの用に開発された "せんべい" は、煮込んでも溶けにくく、モチモチとした食感はなかなかのものでした。

あと、青森市B級グルメである「生姜味噌おでん」も食べてみました。

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「生姜味噌おでん」は、冬の厳しい寒さのなか青函連絡船に乗り込む乗客のために、戦後、屋台(闇市)で提供されたのが始まりだそう。

食べてみると、味噌に生姜が摺りおろされていて、その甘辛が何ともいえず美味しかったです。

確かに、この居酒屋では青森を満喫できました。

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カウンター席の前で、店のおばちゃん達が話す津軽弁が何とも心地よく、とても愉快な夜となりました。


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ねぶたを見に「ワ・ラッセ」へ(青森その4)

青森市といえば、何といっても「ねぶた祭」ですね。

8月の初旬に6日間かけて行われる祭りで、毎年延べ200万人以上の観光客が訪れるとか。

その ”ねぶた” をひと目見ようと、JR青森駅前にある観光交流施設「ワ・ラッセ」(2011年開業)を訪れました。

次の写真が館内に展示されていた ”ねぶた” です。

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想像していた以上に大きくて、色使いも鮮やか。 その迫力には驚きました。

館内には、かなりの数が展示されていて、しかも精巧に作られた ”ねぶた” を見てまわるのは、とても面白く興味深かったです。

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”ねぶた” の起源は、土着の七夕祭りや眠り流し(禊祓い)が変化したものと考えられています。

青森県内では、現在も約30市町村で、大小さまざまな「ねぶた祭」が行われているとか。

なかでも、青森市(ねぶた)と弘前市ねぷた)、それに五所川原市立佞武多)が全国的にもよく知られていますね。

運行する際の囃子方の掛け声は、青森市が「ラッセラー」、弘前市が「ヤ―ヤード―」、五所川原市では「ヤッテマレ」というらしい。 まあ、地域によって特色があるということでしょうか。

また、"ねぶた"(青森市)と "ねぷた" (弘前市)のように発音(表記)の違いも気になったので現地で聞いてみると、今は余り区別しないで使っているとのことでした。

次の写真は、この展示施設「ワ・ラッセ」の建物を撮ったものです。

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赤を基調とした外観は、なかなかにお洒落なデザインですね。

ウォータ―フロントのなかでも、ひと際目立っていました。

出来ることなら、夏の本番の祭りを見物したいものです。 でも、その期間は相当の混雑らしいので、訪れるのはなかなか難しいかもしれません。

この「ワ・ラッセ」で、ほんの少しですが祭りの気分を味わえたことで、ひとまずは満足しておこうと思います。

 
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夕暮れ時の青森ベイブリッジなど(青森その3)

三内丸山遺跡と県立美術館を見学したあとは、青森市の中心部へとやってきました。

JR青森駅を中心とする市街地は、その昔訪れたときとさほど変わっていない様子でした。

宿泊予定のホテルに荷物を置いたあとは、青森港に面したウォーターフロントへと出かけました。

そこで撮ったのが次の写真です。

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ちょうど夕暮れ時の灯りがともり始めた頃で、とても綺麗な景観が広がっていました。

ベイブリッジは1994年に開通した道路橋で、今では青森市を象徴するランドマークとなっています。 橋脚のデザインは青森の頭文字(A)をかたどっているそう。

その下にある建物は ”A-FACTORY” という観光施設ですね。 なかなかに洒落たデザインで、なかには土産店やシードルの醸造所などが入っていました。

海からの風は少し冷たかったですが、久しぶりに陸奥湾から津軽海峡方面を眺めることができて嬉しかったです。

例えて言うと、つい ”津軽海峡冬景色” を口ずさんでしまうような気分でした。

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青森駅前にあるアウガ(再開発ビル)の地下には、新鮮市場があります。

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当地の生鮮食品や土産物など、昔の市場の雰囲気を味わうにはここが一番ですね。

訪れたのが中途半端な時間帯だったせいか、人影がまばらで少し残念でした。

青森市は、市街地が郊外に延びて、中心商店街などが苦戦していると聞いていました。

確かに、駅前の新町商店街ではシャッターを下ろした店が散見されて、やや寂しかったです。

青森市は、富山市と並んでコンパクトシティの先進地域を目指していたはず。

このことを地元の人に聞いてみると、なかなか想定通りには進んでいない様子でした。

街の構造を大きく変えることになるので大変だとは思いますが、何とか前へと進んで欲しいと、人影の少ない商店街を歩きながら考えていました。


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青森県立美術館「あおもり犬」など(青森その2)

三内丸山遺跡から歩いてすぐのところにあるのが、青森県立美術館(2006年開館)です。

今回の旅の目的のひとつが、この美術館に展示されている「あおもり犬」を見ることでした。

いきなりですが、「あおもり犬」を撮ったのが次の写真です。

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これは、青森出身の画家・彫刻家である奈良美智(なら・よしとも)の作品ですね。

この作品は、常設展示場のガラス戸越しに見るのが普通のようですが、外から迷路のような通路を辿っていくと間近に見ること(触ることも)が出来ます。

写真は、屋外トレンチに設置された高さ8.5m、横幅6.5mの作品を外部から撮ったものです。

白い大型犬で、その表情はまるで眠っているかのよう。 

そして、体の一部は地中に埋まっています。

三方を囲む高いトレンチと相まって、まるで発掘途中の遺跡埋蔵物のようにも見えます。

その少し寂しげな様子を見ていると、なぜだかすごく癒されました。

海外からも、この作品を見に来る旅行者が多く、当日も結構な人気ぶりでした。

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当美術館では、地元出身ということもあって奈良美智の作品をかなり収集しています。

奈良の代名詞ともいえる ”特徴的な目付きをした女の子の絵” も、多数展示してあって楽しめました。 彼の作品は、170点ほど収蔵しているらしいです。

その他のコレクションとしては、シャガールが描いたバレエ「アルコ」の背景画が良かったです。

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1点の大きさは縦が約9m、横が約15mもあって、なかなかの迫力でした。

また、当地出身の棟方志功の版画も沢山展示されていて、興味深かったですね。

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近年、地方の美術館では有名建築家に設計を依頼することが多くなっています。

当美術館の設計も、著名建築家である青木淳が担当しています。

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収蔵された美術作品群もさることながら、青木淳が遺跡の発掘現場から着想を得て設計したという建物を見学できて、とても充実した時間を過ごせました。

青森県立美術館、ここは皆さんに見学を是非おススメしたいと思います。


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三内丸山遺跡(青森その1)

青森市へと出かけました。

東京からは飛行機か新幹線かで迷いましたが、久しぶりに東北新幹線を利用してみました。

いつも思うのですが、JRの在来線駅(〇〇駅)と新幹線駅(新〇〇駅)とが離れている街は、慣れない旅行者にとってやや不便さを感じますね。

今回、降り立った新青森駅も在来線の青森駅から離れているので、乗り換えが少し面倒に感じました。 

新幹線の経済的メリット(活性化効果)を十分に享受するためには、在来駅と新駅との連携に知恵を絞った何らかの施策が必要になると思います。

そんなことを考えながら、新青森駅から最初に向かったのが「三内丸山遺跡」です。

三内丸山遺跡」は、日本最大級の縄文集落跡ですね。

今から約5,900年前~4,200年前の縄文集落跡で、長期間に亘って大規模な定住生活が営まれていたと推測されています。

写真は、六本柱建物跡を撮ったもの。

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地面に穴を掘り、柱を立てて造った建物跡(復元)で、当遺跡のなかで最も重要な遺構とされています。

用途は、祭祀用だったと推測されていますね。

柱穴は直径2m、深さ2m、間隔が4.2mあって、中に直径1mの栗の木柱が埋められていました。

長さや深さ等がほぼ同じであったことから、当時、既に測量技術を持っていたと考えられるそう。

埋められていた栗の木には焼いた跡があり、これで腐食を防ぐという知識も有していたといわれています。

次は、大型竪穴式住居跡の写真です。

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当遺跡には、このような大型の竪穴式住居跡が10棟以上も出土していて、集団で生活していたと考えられています。

最大の住居跡は、長さ32m、幅10mとかなりの大きさです(写真の通り)。

内部は、次のようになっていました。

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この他、小家族で暮らしていたとみられる竪穴式住居跡が約780棟あったとされ、幾つかが復元されていました。

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この他、高床式倉庫や環状配石墓など多数の遺跡があって、じっくりと見学すると時間が足りないほどでした。

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遺跡の総居住者数は数百人規模と考えられ、集落の周辺には多数の堅果類(クリ、クルミ、トチなど)を植えていたそう。

それほどの集落が、なぜ消滅してしまったかは、いまも分からないといいます。

一説には、気候の急変(寒冷化)と推測されていますが、今のところは謎のままとか。

なかなかに想像力を掻き立てられる遺跡見学でした。

ここの見学は、皆さんにおススメしたいと思います。


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ブックバスが虎ノ門ヒルズにやって来た

夕暮れ時、虎ノ門ヒルズ(東京・港区)のオーバル広場の前を通りかかったら、本に関するイベントをやっていました。

広場に止まっていたのが ”ブックバス” です。

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どうやら、古書の移動販売車のよう。

これは面白そうとバスのなかに入り込み、本を眺めながら暫く楽しい時間を過ごしました。

置いてあるのは絵本などが多くて、小さなお子さん連れも沢山見に来ていました。

後で調べてみると、このブックバスは、オンライン古書店の(株)バリューブックス(長野県上田市)が運営しているものらしい。

今はオンライン書店が全盛で、リアルな書店は1日1軒のペースでなくなり、全国の5分の1の自治体には本屋が1軒もない状態だとか。

確かにオンライン書店は便利ですが、良い本に出合える ”偶然” の機会はリアルな本屋の方に軍配が上がります。

何気なく書店に入って、たまたま手に取った本が一生の愛読書となることは大いにあり得る話です。

そのような ”偶然” を演出するために造ったのが、この ”ブックバス” だそう。

このバス、なかなかにお洒落なデザインですが、もともとは岩手県のとある自治体で使われていた移動図書館車だったとか。

それを中古で購入し、内部を改造、車体も塗りなおして、あちこちの出張販売に活用しているらしい。

オンライン古書店が営む ”ブックバス” プロジェクト、なかなかに夢があっていいですね。

また何処かで出会えたら、と期待しています。

 
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熱田神宮(名古屋その10)

今回の名古屋旅では久しぶりに熱田神宮へと参拝しました。

前回お参りしたのは転勤で名古屋に住んでいた頃ですから、かなりの年月がたっています。

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熱田神宮の創建は113年(景行天皇43年)と古く、三種の神器の一つである草薙剣(くさなぎのつるぎ)を祀る神社として知られています。

ここは、伊勢神宮に次ぐ高い格式をもつ神社ですね。

およそ6万坪(約19万㎡)ある境内地には、樹齢千年を超えるという楠をはじめ沢山の樹木が生い茂っています。

今回、久々に訪れてみると、以前よりも木々の緑が深くなったように感じられました。

鬱蒼とした森をしばらく歩くと、外玉垣御門(拝殿)が見えてきます。

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境内地は生い茂る木々もあってか、清浄な雰囲気で満たされていて、とても心地良かったです。

以前と比べると、やはり外国人観光客が多かった印象ですね。 海外の皆さんも神妙にお参りされていました。

次の写真は、ご神木の大楠を撮ったもの。

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樹齢は千年を超えるとか。 その堂々とした佇まいは、見ていて気持ち良かったです。

次は「信長塀」を撮ったものです。

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1560年、織田信長桶狭間の戦いに臨んで熱田神宮へ戦勝祈願し、勝利したお礼として築いた塀だとか。

土と石灰を油で練り固め、瓦を多数積み重ねて造っています。

神仏を信じなかったとされる信長が、ここ熱田神宮に戦勝祈願に訪れたという逸話には興味をひかれますね。

なお「信長塀」は「日本三大土塀」の一つに数えられています。

ちなみに、残る二つは「大練塀」(西宮神社)と「太閤塀」(三十三間堂)です。

 
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