桜島フェリーに乗って錦江湾と桜島の景観を楽しんだあとは、鹿児島市内の磯地区にある「尚古集成館」へとやってきました。
「尚古集成館」は、島津家の諸資料を展示する博物館です。
28代藩主・島津斉彬公が近代工業の先駆け(集成館事業)として建てた西洋式機械工場を博物館として活用しているもの。 資料館としての開館は大正12(1923)年となります。
写真の建物は、慶応元年(1865年)築で、鹿児島最古の石造建築物。 国の重要文化財でもあります。
当時、最先端の西洋式造船所だった「長崎製鉄所」を参考に築造されたものとか。
厚さ60㎝の石壁に頑強な梁が組まれた、見るからに立派な建物です。
今は瓦葺きですが、建設当初はトタン屋根だったそう。 当時からトタン板があったとは少し驚きました。
「尚古集成館」には、島津家ゆかりの貴重な文物が沢山展示されています。
別館に展示されていた人形と雛道具は圧巻でした。
5代将軍・徳川綱吉公の養女・竹姫が島津家に嫁入りした際、持ってきたものとか。
98種、550点にのぼる大揃いの雛道具で、人形よりも、むしろ道具類が多く、いずれも精巧で凝った作りでした。 これは一見の価値がありましたね。
天璋院篤姫が将軍家に入るときも、沢山の道具類を持っていったようですが、島津家に嫁入りした竹姫も同じだったのでしょうか。 考えただけでも大変なことですね。
次の写真は「薩摩切子工場」の内部を撮ったもの。
場所は、「尚古集成館」に隣接して建っています。
切子工場は「吹き場」(溶けたガラスから器の型を作る)と、「カット場」(模様の彫り込み)、それに「磨き」(最終仕上げ)の3つのエリアに分かれています。
職人さんたちが手作業で行っている様子を間近で見ることができて、とても興味深かったです。
この「薩摩切子」は、工場に隣接した工芸館で購入できます(何とも高価ですが・・・)。
ちなみに「江戸切子」との一番の違いは、「江戸切子」が透明・無色な透きガラスであるのに対して、「薩摩切子」は色被せと呼ばれる着色されたガラスを使っていることにあるようです。
個人的には、鮮やかな色合いの「薩摩切子」が好みというところでしょうか。
その昔、鹿児島に赴任していた頃、いくつか買い求めた「薩摩切子」のグラスなどが、今では我が家の一番の宝物となっています。
今回は、貴重な地域遺産や特産の工芸品などが見られて良かったです。